自称ベテラン授乳者の「授乳生活を開始した5年前」

いまでこそ、自称ベテラン授乳者(という言葉はあるのでしょうか?)の私ですが、 授乳生活を開始した5年前は全くの初心者でした。

 

授乳、それは、はっきりいって「よく知らない世界」。

 

産婦人科医なんだから、 よく知っているのでは、と思われるのですが。 実は「母乳」については「???」だったのです。

 

産婦人科では、出産に関しては、正常か異常かで、中心になって働く人が異なります。

 

簡単に分けると病気は医師の仕事で、正常分娩は助産婦さんの仕事なんです。 正常なお産では医師が行う事はほとんどありません。

 

だって、陣痛の時に腰をさすってくれ、励ましてくれ、楽な姿勢をアドバイスし、 出産を介助するのは助産婦さんの方が専門職なんです。

 

もちろん、私も汗をふく、コップのお水を渡す、くらいのお手伝いは出来ますが、 腰さすりは下手かもしれません。

 

なにか異常が起こったとき、急いで赤ちゃんを生まれさせる(急速遂娩:きゅうそくすいべん、といいます。) のが医師の仕事、つまり帝王切開や吸引分娩などですね。

 

よく聞く話で

「生まれる直前までセンセイ(医師の事)が来なかったのよ!ひどいわねえ」

という場合、 お産が自然に順調に進行していれば、医師の仕事はないはず、なので特別「ひどいこと」ではなかったりします。

 

ということで、母乳に関しては医師の守備範囲と言うよりは助産婦さんの専門分野と されることが多いようです。

 

産婦人科医で正しい母乳についての教育を受ける機会は、ほとんどないのです。

教科書的なことは知っているけれど、例えば初乳はどういう成分が多くて、免疫がどうこう、 などなどですが、実践編はわからない。

 

もちろん熱心に勉強されている産婦人科のセンセイ方もたくさんいらっしゃいますが。

 

 

私の場合「母乳の事は助産婦さんにおまかせ」状態でした。

 

産後の回診で、お腹を触って子宮の収縮はOK!これは自信を持って行っていましたが、 胸の状態は一応聞くだけ。

それも「はってますかー?」位。

 

知らないから仕方ないと思いますが、いま考えるとお間抜けな質問ですね。

お母さん方の授乳の様子も「あー飲んでますねー」くらいでよくよく見た事もなく。

 

ちなみに新生児室は、いわゆる仕事場なのですが、授乳室って医者は入りにくいんです、独特の雰囲気で。

 

 

同級生の小児科医も新人の頃「いやー、おかあさんって、すぐ胸を出すんだよ-。 先生、診てくださいって。困るよねえ」と照れておりました。

 

照れるな、T君、それが仕事なのだ。

 

そしてお母さん方はちっとも恥ずかしくなかったりするのだ。 胸ではなく「ちち=子どもの食料」だから。

 

…..話がまたそれました。

 

長女の出産…

長女の出産前までは外来の方や産後の方に母乳関係の質問をされると 「それは助産婦さんに聞きましょう」ですませていたのです(ずるい!)。

 

でも、まちがった意見を言うよりはマシだったかも、と反省しつつも弁解しておきます。

 

自分の子供となるとそういうわけにもまいりません。

 

とりあえず本です。

トリセツ(取扱説明書)は必ず読むタイプなもので、母乳だって文献を読めばわかるはず!と 何冊も買ってはみましたが、どうもピンときません。

 

唯一役に立ったのは『だれでもできる母乳育児』。

これこそ教科書、と感じられる、論理的かつ実際的な内容でした。

 

長女は早産の上、低体重(いわゆる未熟児)で小児科へ入院中でした。

 

私の方が先に退院し、時間はたっぷりあったので、この本を何回も読み込んで、 正しい授乳生活のノウハウを手に入れられました。

 

しかし最初からそううまくはいきません。

 

長女がようやく保育器からでてきて、 はじめて直接授乳(業界用語では直母といいますね)をした時。

 

 

ちいさくって首のすわらないアカンボを横向きに抱いて、胸の所に、と、これで既に一仕事。

 

 

普通に抱っこするだけなら慣れているのですが、吸わせるのは初めてなんですよ-、ぐらぐら。

 

口に乳首を入れ…..はいらない!

 

スキーの教則本を読んでも、その通りに滑れる、というのは別ですからねえ。 小児科の看護婦さんがアカンボの頭を後ろから支えて胸に押しつけてくれるのですが、飲む、まではたどりつけず。

 

初回直母は「なめただけ」だったと記憶しています。

 

今思い出すと。直母ゼロは、初めてで慣れていない、の他に、 かなり緊張していたこともあったのでしょう。

 

未熟児や病気の子どもを治療しているNICU(新生児集中治療室)の隅っこで、 屋台にあるようなビニールっぽい丸イスで、さあ母乳をあげましょう、というのは リラックスとは全く反対の状態ですよね。

 

自分は割と慣れている場所ではありますが、 やはり、ピコピコ鳴るモニターやら点滴チューブや注射器だらけの光景は、普通じゃない環境です。

 

医療関係ではないお母さんだったら、もっと大変だったかもしれません。

 

背もたれひじ掛けなしの丸イスじゃあ、寄りかかるのも、腕を休めることもできませんし、 初心者には難しい環境です。

 

回数重ねる度に上達はしていきましたが、 前もって、ちょっとしたコツを知っているだけで授乳はずいぶん楽にできます。

 

これを先に教えておいてもらえば!と何度思った事か。

 

次回はそのポイントをあげてみます。

ギネ医者 村上麻里のお気楽授乳生活 第2回 始めの一歩

次の記事→ 第3回ギネってなんじゃろ

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