哺乳類は乳を飲むためのしくみ、反射の次は…
前回、反射のことを書きました。
哺乳類は乳を飲むためのしくみが生まれながらに備わっている、 そのひとつが乳首を探す追いかけ反射です。
そして唇に触ったものに吸い付く、つまり口を開け、唇を閉じて、リズミカルに吸って、飲み込む、 これをSucking Reflex 吸(きゅう)てつ反射です。
赤ちゃんの口の中に指を入れ、ちゅうちゅう吸われた経験、みなさんありますよね。
我が家の三女は生まれて十数分後に長女の指をちゅぱちゅぱしておりました。
好奇心旺盛な長女、どこかで知って試したかったらしいです。
この吸う力はとても強いものです。
ぴたりと閉じた口びるで口の中に陰圧がかかるので、 指を抜こうとしても抵抗があります。命をつなぐための行動だから、こんなにしっかりしているのでしょう。
英語では赤ちゃんに乳首をくわえさせることをLatch onラッチオンといいます。 なんとなく「くっつくこと」かと思っていましたが、あらためて調べてみました。
Latchとは「掛金をかける」ことでした。掛金をおろしたように、ぴたりと閉じる、はずせない、開けられない状態。
latch onで「しがみつく、手に入れる」……..ふむふむ。 たしかに赤ちゃんの吸う力をうまく表現していると思いませんか?
ラッチオン
赤ちゃんの口を大きく大きく開けさせる。親指上のC字形で乳首を口の中へぐーっと押し込む。
そして、自分から乳房を差し出さない、寄って行かないで、赤ちゃんを引き寄せる。
これで2人の間にカチつながりができます。
これがラッチオン。
注意したい所は、赤ちゃんの頭だけを引き寄せすぎて、せっかくの良い姿勢が、ずれてしまうこと。
首が曲がってしまうと、赤ちゃんは上手に飲み続けることが難しくなります。
良い姿勢とは……….
顔も体もお母さんの方を向いている。
お母さんと赤ちゃんの、お腹とお腹が合う。
耳、肩、おしりが一直線になっているでしたね。
赤ちゃんのからだを支えた片腕をそのまま自分の胸の方へぐっと近付けてみてください。
そして、母の姿勢。乳房を寄せていくと、猫背になってのぞき込むような姿勢になってしまいます。
反対に背すじを伸ばして胸を張るような体勢の方が乳首の様子が見やすいですよ。
かがみこまないよう、乳房を寄せていかないように、注意しましょう。
仕上げです。赤ちゃんの唇を見て下さい。
正しい形は
・ラッパのよう
・朝顔の花のよう
・ドナルドダッグの口のよう
に乳首を包んで外側に向いている、赤い色が平均的に見える、です。
唇が口の中へめくり込んでいませんか?
スキマがあると口の中は陰圧にならず、せっかく吸っていても十分に飲めなくなってしまいます。
そして乳首に部分的に強く力がかかるので、痛みの原因になります。
唇のめくり込みは修正しましょう。
方法。
C字形に乳房を保持した手を離して、上に書いたような形に直します。
えーと、めくり込んだ唇をちょいちょい、と外側に持ち上げるだけ。
(たいした技でなくてスミマセンでした)
またまた復習ですが、乳首が偏った状態で口の中に入ったり、 赤ちゃんの口の位置が低すぎ、高すぎですと、乳首のどこかに負担がかかります。
つまり痛くなります。
くわえる場所が浅くても、とても痛いものです。
痛い所、苦しい所があれば、もういちど仕切り直し。 口を離させるには、陰圧を解除することです。
口角から指を差し入れる、乳房に指を当てて凹ませるなどでスキマをつくりましょう楽にはずせますよ。
(無理に引っ張るとひえーん、というくらい痛いです。さすが哺乳類。)
ゆっくりトライして下さいね。
さーっと書いてしまいましたが、母乳育児でみなさんが心配する
足りてない?
痛い!
という二大問題は、ラッチオンが正確にできていれば、ほとんど解決するのです。
奥深し、掛金かけ。