モーハウス代表の光畑です。

この7月末、モーハウス日本橋ショップは閉店を迎えます。
日本橋地区の再開発に伴うものですが、もともと都内のショップは
2年間の期間限定で始めたものでした。それが20年も続いたことに、心から感謝しています。

最後の2日間には170人もの方が駆けつけてくださいました。
「授乳は終わったけれど今も愛用しています」
「プレゼントにいつも選んでいます」
「社会を変えられると感じて取材に来ました」
——そんな言葉の数々に、支え続けてくださった皆さまへの感謝の気持ちでいっぱいです。

私・光畑の第1子はNICU育ちで母乳が飲めず、粉ミルクで育ちました。
2子で初めて母乳の力に気づき、寝かしつけが楽になったことで「母乳は最高のツールだ」と実感しました。
けれど、外で授乳するのは難しく、「外出か母乳か、どちらかを選ばなければならないのはおかしい」と感じ、「着る授乳室」として授乳服を開発しました。

授乳服を着たときの解放感は、羽が生えたようでした。
母乳というと、「性別役割」や「母性の神聖化」を想像する方があるかもしれませんが、授乳は女性を縛るものではなく、自由を与えてくれるものだったと、この時気づきました。
そこからずっと、私たちが目指しているのは「女性が自分らしく働き・生きることを支える」こと。
「規制や統制」ではなく「自由と包摂」なのです。

 

最近では「授乳服はフェムテック」「ジェンダード・イノベーション」という言葉で紹介されることもあります。
でも、本当にすごいのは私たち自身。
子を抱き、母乳を与える力
——それこそが社会を変える力なのです。
授乳服という小さな補助があれば、その力はもっと発揮できる。
私はそう信じています。

こうした力を、もっと多くの女性に知ってほしい。
子育てを楽にしてほしい。
そんな思いから、
200510月に表参道の「青山ショップ」をオープンしました。
日本橋に至るまで
2度の移転を経て、スタッフたちは終始、子連れで授乳しながら働いてきました。
中には子育てに悩んで入社したスタッフもいましたが、子連れ出勤を通じて社会とつながり、生き生きと働けるようになりました。
今回の感謝の会には元スタッフも多く訪れ、「あの頃の授乳や仕事がどれほど楽しかったか」を語ってくれました。

都内の店舗がなくなるのは寂しくもあります。
でも、こうした環境がモーハウスだけでなく、他の場所でも当たり前に実現していくことこそが、本当の理想ではないでしょうか。
実際、授乳服をプレゼントする企業や、子連れ出勤を導入する自治体・団体も増えてきました。

あるNPOの方が言っていました。
「この活動が必要とされない社会こそ、私たちの目指す未来だ」と。
けれど、まだ日本の多くの母親たちは、その未来にたどり着いていません。
だからこそ、モーハウスの活動はこれからも続きます。

「自分らしく働き、育てる」ことが当たり前になる社会へ——。
これまでの経験と知見を活かしながら、女性たちの力を社会に取り戻していく一翼を担いたい。
そしてその道のりを、皆さんお一人おひとりとともに歩んでいけたらと願っています。
ぜひ、いつでもお声をおかけください。
共に、社会をより良く変えていきましょう。

2025年7月吉日
モーハウス代表
光畑由佳