モーハウス×ネパール支援「2015年度グッドデザイン賞」を受賞

この度、授乳服のモーハウスは、2015年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。

受賞したのは、“日常生活を取り戻すためのネパール被災地支援プログラム”という、
3.11の東日本大震災を体験に基づいた、被災地を継続的に支援するプロジェクト。

モーハウスでは、2012年からフェアトレードの就労支援の一環として、
糸紡ぎから縫製までネパールの女性が丁寧に手作りした授乳服をお届けしていました。
2015年4月のネパール大震災を受け、災害支援策として寄付も考えたのですが、
現地の要望も聞き、持続的に長期にわたる支援をしたいと、これまで以上に仕事を依頼し続けようという結論に至りました。

私たちが3.11の被災経験から、日常は小さな子どもたちはもとより、母乳育児中のママにとって
<日常を取り戻すこと>がとても大切であると学んだ知恵を、ネパールにも届けたいと思ったのです。

震災翌日から、店頭やウェブサイトで呼びかけたところ、本当に多くのお客様 (授乳中でない方からも)にネパール製品をご購入いただきました。
また、同時にいただいた応援メッセージを、現地の支援者経由で届けたことで、
ネパールのスタッフに勇気と元気を与えることが出来ました。

審査員からは、「被災経験者だからこそわかるそれぞれの困っている点を一本の線で結んで
解決している点と持続的な収入源を保つ支援の仕組みであった」と高く評価いただきました。
ひとえにご協力、応援くださり、点をつないでくださったお客様のおかげとスタッフ一同感謝しております。
これからも国は違えど、同じ子を持つママ同士、生産と購入を通じて、長きに渡る支援を続けていきたいと思います。

「いつも通りの生活」を取り戻すために

ネパール大地震で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての方に心よりお見舞い申し上げます。

今回の地震で大きな被害を受けたネパールの方々へ、私たちができること。
それは、東日本大震災で学んだことと同じだと、私たちは考えました。

糸つむぎの村では、いつものように、糸をつむぎ、
機織りの村では、いつものように、生地を織り、
工場では、いつものように、足踏みミシンを踏む。

そんな「いつも通りの生活」が送れるよう応援をすることが、
私たちができることなのではないでしょうか。

現在私たちは、ネパール製の授乳服をご購入いただいた方からの
現地へのメッセージを受け付けて、届けています。

いただいたメッセージを一部ご紹介します。

「 被災された皆様に、私ができる応援の一つをさせていただきます。
大切に着させていただきます。
着るたびに被災された皆様のことを忘れずに、またできる応援を重ねていきたいと思います。」

「ネパールでの震災支援をメールで確認してからいてもたってもいられなくてサイトをひらきました。
私も東日本大震災の被災者です。現在も実家の沖縄に避難中です。
ですからとても他人ごとではありません。
亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された方達に心よりお見舞いを申し上げます。
現在は卒乳してますが、服を購入することが皆様の踏ん張りになり
前を向いて歩みだす一助となることを心より願っています。」

はじまりは一通のメールから

それは、モーハウスに届いた一通のメールから始まりました。ネパールに住んでいた、あるユーザーさんからでした。

「…ネパールの手織りの布で、ゆったりとしたシルエットの肌触りの良い服。それを作っている友人がいます。モーハウスのコンセプトにとても似ていると思います。ネパールで授乳服を作ることは可能でしょうか?女性の雇用にも役立ちます…」

それが、モーハウスとネパールとの出会いでした。

どんな場所で、どんな人たちがつくっているんだろう?
気になった私は早速子どもたちもつれて、ネパールに向かいました。

実際に、ネパールに足を運ぶにあたって、多くの方から「貧困」「電力不足」「衛生状況」などの心配ごとを聞かされました。発展途上国の中でも貧しい後発開発途上国に位置づけられる国です。

ネパール

確かに、一日に13時間もの停電、収入となる産業も乏しい国ではあります。しかし、ネパールの子どもたちの笑顔や、女性たちが行きかう村の風景は、私たちが生まれる前の日本はこうだったのだろう、と思わせられるものでした。限られた資源の中で、環境の中で、懸命に生きているように見えました。

ネパールでは、深刻な電力不足のため手仕事によるモノづくりが中心。紡ぎ車でつむぎ、手で染め、手で織り、足踏みミシンで縫製…電気がなくてもできる究極のモノづくり。

ネパール

1枚の授乳服を作るのに、何十人もの女性の手を経ています。それは、何十人もの女性のための、貴重な仕事になっているということです。

織りや染めの風合い、刺繍のライン。本当に人の手による服たちだから、一枚一枚のニュアンスはちょっとずつ違って、まったく同じではないのも面白い。
イトオシイ。あなたのお手元に届いて、そんなふうに思ってもらえたら嬉しい。

一枚の授乳服が、ネパールの女性と日本の授乳期の女性をつなぎます。
モーハウスが始めるフェアトレード・プロジェクトです。

ネパール

■ネパールの女性

ヒンズー教文化圏のネパールでは、女性の地位はかなり低いです。結婚したら家庭に入り、その家で一生仕えると言う考え方がまだまだ一般的です。家事を一手に引き受け、家庭の中で過ごす女性が大多数を占めています。

■ネパール女性の働き方

近年は諸外国の影響を受けて女性の社会進出も進んでおり、教育を受けた若い人達はいわゆるオフィスワークが出来る会社に就職する場合も増えていますが、ネパールでは男女問わず就労の場所自体が少なく、失業率が慢性的に高いのが現状です。

■作る場所。女性たちへの働く場の提供

この工房では、女性の持つ勤勉さ、女性ならではの丁寧さに着目し、女性にこだわって採用しています。ネパールで女性の職場が限られる理由は、男性中心の職場で女性が働くことに家族の理解が得られないという点が大きいのです。女性だけの職場は、働きやすいだけでなく、家庭からも仕事への理解が得られやすいという利点があります。やむを得ない場合以外の離職がほとんどなく、出産後は全員復帰していることでも、快適で働きやすい環境であると言えます。女性だけの会社、女性の雇用支援、社会進出に関する理念に、モーハウスと共通する部分があると感じます。

 

モーハウスのモノづくりを伝える

授乳は24時間、時と場所を選ばずにするもの。だから、授乳服作りは、とてもセンシティブです。
ストレスなく授乳できるものを作るために、丈夫な素材、しっかりした縫製という確かな技術、丁寧な手仕事でこたえてくれました。工房の女性たちが、時に和気あいあいとおしゃべりしながら、時に静かに集中して製作した商品です。手織りならではの温かい肌触りを日本のお母さん、赤ちゃんにも感じてもらえる授乳服が出来上がりました。

 

モーハウスのフェアトレード

グラミン銀行で知られるノーベル平和賞受賞者・ユヌス氏のお話を伺った時に、氏はこんなことをおっしゃっていました。「なぜ女性なのか? 女性は家庭やこどものたにお金を使うからです」
モーハウスの服を作って女性たちが稼いだお金は、自分のためだけでなく、子育て、教育など、子どもへたちと還元されるのです。母乳育児を通じて、ネパールの女性の自立を支えましょう。子育て中のお母さんに、ゆとりや自由をもたらす授乳服。一枚の授乳服が、ネパールの子育てをしながら働く女性と日本の授乳期の女性をつなぎます。