母乳育児中の活躍する女性を紹介する「働く母乳対談」。ゲストにミュージシャンの坂本美雨さんをお迎えし、モーハウス青山ショップ内での公開トークショーを開催しました。常にふんわりとしたオーラで子育てを楽しんでいる坂本さん。その飾らない子育て感を軸にトークに花が咲きました。
【坂本美雨さんプロフィール】
1980年生まれ。9歳まで東京で育ち、両親の音楽活動に伴ってニューヨークへ移住。現地の高校を卒業した後、本格的に音楽活動を開始。音楽だけに留まらず、作詞、翻訳、ナレーション、俳優などマルチな分野で活躍中。また、大の猫好きとしても知られる。2016年7月で1歳を迎えるなまこちゃん(愛称)という女児の母。
白斑を乗り越えて、今ではアクロバット授乳もお手の物
光畑:美雨さんは、授乳のことで思うことがあるとうかがったのですが…?
坂本:私なぜか、授乳や母乳のことに関して妊娠中からずっと執着というかすごく調べたり、本を読んだりしてたんです。まだ産んでもないのに卒乳について勉強して想像して泣いたりとか(笑)。
光畑:わー!それはすごい!にしても想像力が豊かすぎますね(笑)。
坂本:そうなんです。でも母乳神話とかではなくて。子どもを連れて仕事をするということは決まっていたので、誰でも授乳できる方が便利だから混合にしようと思っていたし、私としては母乳でも粉ミルクでもどっちでもいいかなと思っていたんですが、いざ始めてみたら粉ミルクを飲んでくれなかったのでたまたま完母になりました。
それからずっとくっついているという状態が続いて2カ月弱の頃、片方に白斑が3つできたんです。その時「何だこの痛みは!」って!
光畑:確かご出産は帝王切開だったと伺いました。術後の痛みよりも辛かったですか?
坂本:帝王切開です。術後の痛みもものすごく痛くて苦しかったんですが、そんなのよりもずっと痛くて。白斑は本当に辛かったです。それで桶谷に駆け込んで。乳腺炎にはギリギリなっていなくて、白斑になっていた所も詰まってはいなかったので、吸ってもらうことで治していくことになって。でも白斑になりながら吸ってもらうその痛みといったら…。
光畑:痛いんですよね…。
坂本:本当に。それから桶谷に2週間に1回位の頻度で通うようになって。未だにひとつは飼っているので(笑)、今でもメンテナンスで通ってるんですけど。それからですね。授乳をどこでもできるようにするっていうことの大事さと利点に気付いたのは。
光畑:それをご自分で気づかれるなんて、すごいですね。
坂本:食事としての役割だけではなくて、子どもが落ち着いたりとか、(白斑の)痛みを緩和したりとか、眠くなってくれたりとか、色々利点があるので、すぐにおっぱい出せるっていうのはとにかく便利だなと。
光畑:そうした情報まで行きつく方ってなかなかいらっしゃらないですよ。ご自分で勉強されたんですか? 桶谷の先生に教えてもらったとか?
坂本:両方ですね。先に色々本を読んでいたこともありましたし。
光畑:今、美雨さんがおっしゃられたことって、私がいつも書いたり話したりしていることをそのまま言っていただいたような感じなんです。実は先日講座をしていた際に、乳腺炎や白斑の話をしていたんですが、まさに、予防も治療も何回もおっぱいを飲んでもらうことなんだよねって話をしてところで。そもそも何回も飲んでもらえば白斑や乳腺炎にはならないですしね。実はモーハウスのスタッフはほとんど誰も乳腺炎になったことがないんです。坂本:ほんとですか?すごい!
光畑:仕事中でもいつでも飲んでもらえるから(笑)。
坂本:私、白斑になって初めて搾乳機を使ったんですけど、娘が吸ってくれた時との違いを歴然と感じたんです。娘が吸う時は隅々から吸われている感じがするんですけど、搾乳機では表面からしか出てない感じがして。それって本当に良くできてるなぁって思いました。赤ちゃんの方も「ここをちょっと強めに吸ったら出るかも」とか無意識に舌で感じているんじゃないかなって思うんですよね。
光畑:そうですね。乳腺っていっぱいあるから、時々向きを変えて吸わせてみると、いつもは出てない所から飲んでもらえたりっていうのもあるそうです。(「授乳拾弐体図絵手ぬぐひ」を指して)ここには色んな授乳の方法が載っているんですが、ひっくり返って授乳したりね。すごくふざけて見えるんですが、赤ちゃんの顔が胸に真っ直ぐ向いてさえいれば大丈夫なんですよ。
坂本:一番左の下とか、全然ありますよね。
光畑:アクロバット授乳ですね(笑)。私たちのカタログって、色んな母乳の有名な先生や専門家も結構しっかりご覧くださっていて、たまにこの授乳姿勢は正しくないってチェックが入ったりもするので、基本的に最近は正しい姿勢で載せてます。この手ぬぐいの授乳は、ちょっとヘンテコな姿勢であっても、赤ちゃんがちゃんと真っ直ぐ向けるものなので、どれも心配ないんですよ。
坂本:ちなみに今日は、私もモーハウスのブラとワンピースを着ているんですけど、本当にストレスフリーで、柔らかくて気持ちいいんです。一瞬で授乳もできちゃうし。今まで色んな授乳服を試したんですが、中でパットがぐにっと曲がってしまったり、ホックを外すのが面倒くさかったりとかで中々大変でした。そのあたり、こだわって作ってるんだろうなと。
光畑:私、授乳服を作り始めたのは、電車の中で子どもを泣かせた事件がきっかけなんです。子どもが泣くとどんどん注目を浴びるじゃないですか。で、注目を集めた末に、ボタンを外して胸出して授乳したっていう思い出が最悪で。「さぁ、見てください!これから授乳しますよ」って言って見せたようなものでしょ? あの経験から、誰にもばれないように授乳するには素早く授乳できなくちゃダメだと思ったんです。だから、1秒であげられるようにしようって。あと、胸が見えないのはもちろんですけど、お腹だって見せたくないじゃないですか?
坂本:そう、お腹のたるみを見せたくない(笑)。
光畑:そこも見えないようにすることにすごくこだわりました。大学や研究機関で共同開発したり、計測などもしています。
坂本:実は私、洋服に関しては今までの服でもいけるんじゃないかなと思ってたんです。でも先日娘を連れて台湾に行く機会があって。その時に、どこで授乳できるかも分からなかったので、半信半疑で穴空きのタンクトップを買ったんです。でも、実はこれがすごい良かった!
光畑:そうなんだ!嬉しいです。
坂本:台湾でタクシーに乗った時、抱っこ紐をしながらでもバッと広げて授乳することができて。もう最高でした。
光畑:旅行と言えば、飛行機の中ですぐにおっぱいをあげられると助かることってありますよね。
坂本:そうなんですよ。飛行機の中でこそいつでもあげられるのが大事で。タイミングが大事じゃないですか。気圧の変動でグズる直前にあげたいし。
光畑:そう、そうなの!さすがです。耳がツーンとなる時に子どもが泣いちゃっても離陸中だから動けないじゃないですか。そこでね、授乳服を着ていれば座ったままバッと飲ませることができちゃう。隣におじさんが座っててもばれないしね。
坂本:ばれないと言えば、私さっき、歩きながら授乳してました(笑)
光畑:なんと!
坂本:歩き授乳! 娘が眠たそうにしてたんですけど寝付けなかったみたいだったので、歩きながらあげちゃいました。
光畑:そうなんですね(笑)。でも私、美雨さんがなまこちゃんを生後2カ月位の頃から連れ出してお出かけされてるって聞いた時は、すごく感心したんですよ。
坂本:だいたい生後2カ月までは日光浴程度までって言われますよね。私その頃には、がんがん電車に乗っていました(笑)。
光畑:でもそれすごく良いと思っていて。私今日なまこちゃんに会って、落ち着きっぷりにさすがだなと思いましたもん。小さい頃から出歩いて色んな人に抱っこされて色んな人の顔見ていると、例えば怖いおじさんとかを見ても泣かないんですよね。
坂本:ウチの場合は、しっかりスーツとかを着ている人見るとたまに泣いちゃいますね。普段周りにいないんで。アフロとかヒゲボーボー系は大丈夫なんですけど(笑)。
光畑:まさに赤ちゃんのダイバーシティですよね。私なんて自分の子どもは色んな人に抱っこしてもらったのはもちろん、色んな人のおっぱいも飲ませるっていう暴挙にまででてました。
坂本:えーーー!?すごい!!さすがにそれはまだない!
光畑:もちろん血液から作られるものなので、、あまり真似しないでください、なんですけど。おっぱいって何回も飲ませた方がいいけど、母子ともに最初はうまくいかないじゃない? だからウチの子を色んな人に貸して練習させてあげようかと思ったの。お母さんのおっぱいだけじゃなくて色んな人のおっぱい吸えるようにダイバーシティ化しておくといいなと思って。
坂本:でも昔はもらい乳してたってよく言いますもんね。おっぱいの需要と供給が安定するまで、3カ月位かかるって聞いたこともありますし。赤ちゃんも初めてで吸うのが下手で当たり前だから、色んな人で練習することでうまくなるって考えも、確かにありかもしれないです。それにしても光畑さんさすがです!(笑)。
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