ブログ

「子育てと仕事両立のコツは、子どもを言い訳にしないサイズ感」菊永英里さん

 子育てと仕事両立のコツは 子どもを言い訳にしないサイズ感

〈自身と仕事のこと〉彼との喧嘩から生まれたアイデア。

 

光畑:菊永さんは「外れにくいピアスキャッチ」を開発、事業を展開されています。そして、今も子育て真っ最中。そもそも、このお仕事に出会ったきっかけは?

 

菊永:高校の頃、アクセサリーをデザイン通りに作る内職をしていました。次第に自分でもデザインして売るようになり、一個250円だったものが1500円に。内職を受ける側だったのが、発注側になり売り先を増やせば、事業として広がるのではじゃないかと単純に考えて、最初、父親に事業計画書を出したんです。

 

光畑:事業計画書っていうのがすごいですね! それはお父様から出すように言われたの?

 

菊永:言われてはいませんが、銀行員の父なら事業計画を見慣れているはずだと勝手に思い込んで(笑)。でも、父親は何を出してもはねる。試しに、はねられた中の一つのビジネスを友人とやり始めたけど、見事に失敗。見積書も基本的な書類すらもわからない状態でしたから。そこで、仕事というものを見てみようと、ITベンチャーに入社をしました。

 

光畑:なるほど。そこから、ピアスのお仕事との出会いは?

 

菊永:24歳のとき、付き合っていた彼からもらったピアスを、すぐなくして喧嘩になったんです。私が悪いのだけど腑に落ちず、「私がキャッチを作って、ピアスをなくさなくなったら、私のせいじゃないってことが分かってもらえるはず」と思ったんですね。周りの友達も「ピアスはなくす」という声が多く、早速図面を書き始めました。できあがったものを当時勤めていたIT会社の社長にプレゼンをしたら、その日のうちに知り合いの工場を紹介してくださり、それから数ヶ月して最初の試作品が出来ました。サンプルを持って父に事業計画書を出すと、新規性も独自性もあるし、「狙うなら世界を狙いなさい」と初めてOKが出ました。

 

光畑:すごいスピード感と計画性ですね。今、ご自宅で、仕事と子育てと生活を一緒にしているでしょう。これも、最初から子育てを考えて、計画的に今のオフィスにしたの?

 

菊永:はい。自分で会社を作れば、自分でルールも作れるし、どういう環境を作るのかも考えられるなぁと。ただ、店舗を持つと自分が出ないといけないので、いろいろ候補があった中で卸売業に行きつきました。

 

光畑:そういうことだったんですね。具体的なプランはあったの?

 

菊永:私が30歳の時には父がちょうど60歳。定年退職した父に会社を任せて出産準備に入ろうと16歳のときに決意したんです。逆算をすると、25歳で企業し、父に会社を任せられるようになるまで4、5年、29歳までには結婚しなければ!と考えたんです。一軒家で、1階が事務所で、2階で子どもがバタバタと遊び回ってるようなオフィスをイメージしていましたから、結婚する前にそれに沿った物件を探して引越しまで済ませました。

 

光畑:これまた計画通りなんですねえ。

 

仕事も子育ても東京じゃないほうがいいのでは。

 

光畑:そういえば最近、倉敷に引っ越したのですよね

 

菊永:はい。上の子がずっと保育園に入れなくて、ベビーシッターと一日3時間以上かけて送り迎えをする保育園に週数回通っていたのですけど、また今年も入れないって決まった時に、「もう、東京に居る必要ないんじゃない?」って私がいったのがきっかけだったんですけど。もともと、時間にも場所にも捕われないで生きたいって起業しているのに、なぜ私は東京にしがみついてるんだろうって気付いちゃったんです。そこで、旦那と日本地図を広げて、「日本全国どこに住みたいか会議」を開催して。卸売業なので、本州じゃないと配送が、寒いのはイヤ、都会過ぎたら東京を離れた意味がないとかどんどん削っていって。東京へのアクセスの良さ、病院などの充実、程よく都会で程よく田舎って考えたら結局京都と岡山が残りまして。それで物件を探しました。

当時、私は第二子妊娠8ヶ月位だったので、旦那だけで物件を見に行ったりして、自宅と事務所を兼ねられる理想的な物件を倉敷に発見して決めたんです。

 

光畑:ようこそ倉敷へ。倉敷は子育てがしやすい街だと思いますよ。

 

 IMG_2917

 

菊永:はい、もう旦那も子どもも東京に戻りたがりません。私も、月に一度一週間ほどの東京出張で顔を会わせないといけないお仕事をさせて頂いて、あとは基本テレビ会議などで済んでいます。実際、卸売業なのであまり問題もないのです。東京にいると、近視眼的に東京だけを見て商品を作ってしまうのですが、倉敷に移転した事で視野が広くなり、東京を目指すのと同じレベルで世界を目指す事ができるようになっています。倉敷に移転してからの方が世界が近いって思います。

 

〈妊娠と出産〉 産まない選択肢・産めない可能性。

 

光畑:前回のお話では、学生の頃から、出産後のライフスタイルを意識されていたと伺いました。子どもを産むことに関してもイメージがあったのですか? 

 

菊永:産むと決めても、授からない可能性ももちろんあるけど、産む事を前提として計画を立てようと思ったんです。もともと「オタク気質」と言いますか、何かやるって決めたら3日間ぐらい部屋から出てこなくても平気なタイプなんですね。だから子どもを産むって考えておかないと、気が付いたら結婚も出産もしていなかったってことになると思ったんです。

 

光畑:その菊永さんと結婚された旦那さんにも興味がわきます。どんな事をされている方なんですか?

 

菊永:夫はうちの経理をやってもらっています。結婚する時に5年間だけうちの会社で働いてほしいとお願いをしていて、今年の2015年9月末で契約が終わるんです(笑)。

出会いは夫が23歳、私が28歳の時。ギタリストになる為にアメリカに留学をして、帰ってきた彼と出会いました。私の人生計画では29歳に結婚しないといけないので(笑)、次付き合う人とは結婚しないといけないのですが、って彼に言ったら、『僕はまだ23歳で、まったく結婚とか考えてないんで、そういう事を考えるなら違う方に…』って断られたんです。それでも、「それぞれにやりたい事を一緒にどうやって実現できるか考えられるパートナーとして生きていこう」っていう話を4ヶ月間会うたびにした結果、一緒に生きていこう、ということになりました。それからは結婚が前提なので、すぐに一緒に暮らし始めて式の日取りも決めました。

 

光畑:ここもまた計画性というか、自分のイメージ通りに進めて行く姿勢がすごいですよね。でも、普通、出産や子育てといえば、なかなか計画通りにはいかないことが多いものです。今もイメージした通りに?

 

菊永:そうですね、もう、これはラッキーだと思うのですが、計画では29歳で結婚、30歳で第一子、2学年差で第二子をと思っていたのですが、入籍した翌月に第一子を妊娠して、第二子は2学年差で授かっています。自分の年齢でいうと計画よりちょうど半年ズレてるんですけど、それもまぁ誤差だと思って。実験、検証ってよく言いますが、第一子は子どもを保育園に預けずに、自宅兼事務所でいつまでできるのか実験してみようと思ったんです。生後半年で動き始めたらかわいそうになっちゃって、保育園に週3日だけで入れてみたり、ベビーシッターさんに来てもらったりといろいろやってみました。うちは、全部で3人の小さい会社なのですが、一人だけいる女性社員が出産した時に、どういう勤務体系がいいのか、子連れで出社できるのかっていうのも検証したいですね。

 

〈子育てと仕事両立のコツ〉 子どもを言い訳にしないサイズ感

 

菊永:自宅兼事務所にするって決めても、まだ子どもを生む前だったので、本当にできるのか?という不安はやっぱりあったんですね。「クローズアップ現代」で、モーハウスの事務所を見て、こんなふうに抱っこしながら仕事ができるんだと知り、その後ショップにお邪魔したら、接客もできるんだって衝撃を受けました。

「こういうことをしたい」と思っていたことを、本当にやっている人がいて、全然無理じゃない。髪を振り乱してぎりぎりでやっているのではなくて、スタッフの方たちみんなが余裕でやっていたので、こういうのもできるんだって感動がありました。

 

光畑:そうなんですよね。子どもと仕事って、どちらか、って思いがちだし、苦しいイメージがあるけれど、本来そうじゃない。赤ちゃんを抱っこしておっぱいを飲ませて、一緒にいれば、大丈夫なんだって。そういうところを見てもらいたいということもあって、子連れ出勤をしてるんです。

 

菊永:モーハウスでは、子どもに何かあって休みたいスタッフがいる時、一斉メールで調整されているとのことですが、お互いに時間を調整してやっていて、素晴らしいと思いました。一生懸命100%働くか、全く働かないかを選択するんじゃなくて、この期間は七割くらいでというのが、補完し合うことで成り立つのだと思います。

たとえば、女性が起業しながら子育てするというと、24時間仕事のこと考えないといけないようなイメージになりがちだけど、そうじゃなくてもいい。短時間から始められて、幼稚園に入ったら、4時間が5時間に、6時間になって、というふうに調整のきく働き方ができるといいなと思っています。

 

光畑:本当にそれは理想ですよね。私はまさにそんな感じでした。菊永さんは単身の時に始めてるから、最初は本当に24時間企業だったと思う。私は子どもが2か月の時からだから、小さく短時間で始めて、それが段々仕事の規模と一緒に増えてきたって感じ。

 

菊永:それに大きな組織にすると、考えないといけないことが増えますよね。子どもが小さい間は自分がマネジメントできる、なるべくコンパクトな状態でこの時期を乗り過ごそうと思っています。

 

光畑:それは正解だと思う。自分がラクっていうか、心地よいサイズっていうのが一番いいですよね。

 

菊永:大きいこと=幸せな企業っていうのは男性にありがちではないでしょうか。女性としてバランス取っていくために、大きくしていくことは必ずしも必要ではないと思います。ただ、子どもを言い訳にしたくはない。

 

光畑:同感です。私も、子どもを言い訳にしてはいけないって思っている。だけど、子育て時期ならではの“サイズ感”っていうのは、良いですよね。

 

〈モーハウスのこと〉授乳服が背中を押してくれる。

 

光畑:モーハウスに見学にいらっしゃる前は、子どもを連れて仕事するって大変じゃないのかなって想像されていたわけでしょう?

 

菊永:夫と子どもを見る時間はシフト制にしたら、少なくとも自分が動かなくてもいい時間が作れて、だいぶ楽になりました。下の子もまだ6か月だから、打ち合わせに連れて行っています。人見知りがはじまったら、と心配もありますが、これだけ頻繁にいろんな人に会っているから、ひどくはならないのかなって。上の子も連れ歩いていたので人見知りをしない子に育ちましたし。

 

光畑:そう、それも、大事なところですよね。仕事場に子どもを連れて行くことは、親にはメリットがあるけど、子どもにとっても実は良いことなんじゃないって、私も最近思い始めてます。

 

菊永:東京出張の際は Hatch Cowork +KIDsという子連れOKなコワーキングスペースを使っているのですが、いろんな人が「抱っこしても大丈夫ですか?」って、多くの人に抱っこされたり触られたりするたび、子供たちがいろんなものを吸収しているのが見てわかるのです。

 

・Hatch Cowork +KIDs:赤坂にあるキッズルーム併設のコワーキングスペース。起業家をはじめ、子育て世代の女性や外国人など、さまざまな層が集まる。

 

 

光畑:子育ての話を伺ったので、おっぱいの話も聞いてもいいですか。

 

菊永:授乳服はかなり重宝しています。下の子は産まれたのが6月で夏に授乳する時に授乳ケープをかけると暑いし嫌がって。でも、授乳服だとそういうストレスもないので、ささっと授乳ができます。一番重宝しているのは、スリット入りのインナーとモーブラの組み合わせですね。どんな服を着ていても、肌を見せることもないので安心です。

 

DSC_1686

 

光畑:外で授乳することもありそうですね。

 

菊永:タクシーの中とか、駅のホームとか、喫茶店とかどこでも普通に授乳にするようになりました。大きな駅ビルとかデパートとかでない限り、授乳室なんてありませんからね。あまり人目につかない席を見つけてはささっと授乳。これも授乳服を着ているからこそです。

子どもがいるときは授乳服なので、仕事中でも普通に授乳しています。授乳しながらメールも打ちますし電話も。月に2度は子どもと飛行機に乗ります。子どもと一緒だと、自分一人で活動していた時とは違って、荷物も多いし、泣かれる可能性も持っておかないといけない。でも、できない事ってそんなにないんだなって、何かやるたびに思います。子どもと一緒でも、新幹線で岡山往復できたんだから、次は山口県まで行けるだろうって。できることをちょっとずつ増やしているところです。授乳服を使うことで、女性が仕事をあきらめなくていいんだっていうことが広がるといいなって思います。モーハウスさんでは、ライフスタイル啓蒙活動をずっとやっておられますが、皆さんにちょっとずつ広まるといいなって思います。

 

光畑:菊永さんがこうやって実践してくれていること、本当にうれしいです。ありがとうございました。

 

菊永:ありがとうございました。

 

DSC_1698

*プロフィール*

菊永 英里

株式会社クリスメラ代表取締役社長。1981年生まれ。幼少期を海外で過ごす。

2003年大学卒業後、ITベンチャー企業に入社。営業、役員秘書、 新規事業立ち上げに従事。24歳で開発を開始した「ロック式ピアスキャッチ」で2006年に特許を出願。26歳で株式会社クリスメラを設立。数々賞を受賞し、開発した商品は国内800以上の店舗、海外はアメリカを中心に70以上の国へ販売されている。2014年女性起業家大賞グロース部門奨励賞、授賞。

 >>  働く母乳対談 一覧へ

この記事をシェアする

関連記事

おすすめ記事

  1. モーハウスは、ジョイセフ東北被災者支援として物資を支援しています。
ページ上部へ戻る