子育ては“我がまま”でいい

もっとでかけよう。もっと笑おう。

妊娠中も、授乳中も、子育て中も、やりたいことをあなたらしく。

すべての人が、いきいきと自由に輝ける。そんな想いを授乳服にこめて。



わたしたちモーハウスはこんな想いを胸に、ママたちと共に25年余りの時間を歩んできました。
そこに飛び込んできた、多胎ファミリーの報道の数々。
「双子だから、三つ子だから・・・〇〇をあきらめた」「母乳で育てたかったけれど、ミルクにせざるを得なかった」
と悲しげに語るママの姿もありました。

授乳服を通じて、
ママと赤ちゃんに笑顔あふれる

「おっぱい生活」

 を提供してきたわたしたちに、何かできることはないだろうか。
モーハウスを愛用してくださっている多胎ママへのアンケートから聞こえてきたのは

「手が足りなくて毎日が必死」
「多胎育児に関する『正確な情報』がまだまだ足りない」

そんな心の声でした。

「おっぱい」に関することなら、
わたしたちにも「正確な情報」をお伝えすることができる。
そしてそれが、毎日頑張っている双子ちゃん・三つ子ちゃんママの力になるのなら・・・

わたしたちモーハウスは、多胎ママを応援します。


モーハウス 双子、三つ子ちゃん授乳

多胎ママと赤ちゃんの「おっぱい生活」は、どのようなものになるのでしょうか。

双子や三つ子を母乳で育てられるの? 必要な支援は? ママは、どこまで頑張ればいいの?
新生児科医で「国際認定ラクテーション・コンサルタント」(※)でもあり、NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会では教育研修事業部長も務める
奥起久子先生にお答えいただきました。
モーハウスユーザーで双子ママのマミさん、ユミさん、ヒロさんの体験談も交えてお伝えします。

(※)「国際認定ラクテーション・コンサルタント」(IBCLC=International Board Certified Lactation Consultant):母乳育児支援のための一定水準以上の技術・知識・心構えを持つヘルスケア提供者を認定する国際資格。


モーハウス 双子、三つ子ちゃんの授乳について

「おっぱい生活」 双子ちゃん・三つ子ちゃんでもできますか?

 

■モーハウス 「最初に、ズバリお聞きします。多胎児を母乳で育てることはできますか?」

■奥先生 「もちろんです。」

■モーハウス 「とはいえ<多胎ママの負担を減らすためには母乳よりミルク>という報道も少なくありません。双子や三つ子のママだからこそ抱えがちな、母乳育児を難しくするトラブルのようなものがあるのでしょうか。」

■奥先生 「問題は、ママの身体に直接、何かトラブルが起こるということではありません。多胎育児全般にいえることですが、ご家族は『時間』との戦いに突入します。授乳以外の育児・家事をどうやりくりして『おっぱい時間』を捻出するか、それをサポートしてくれる人はいるのか、というところがキーポイントになると思います。」

■マミさん 「うちの子たちは低体重で産まれたので、うまく飲めるようになるまで<おっぱい>の時間がかかり過ぎて。順番に授乳して、オムツを替えていたらそれだけで1日が終わっていました。ほかには何にもできなかった・・・」

■ヒロさん 「私は産院から帰宅後、夫もいそがしいので自分だけで子どもたちの面倒を見るつもりだったんですが、担当いただいた助産師さんから『サポート体制が整うまで退院は許可できません、あなたの産後の状態では双子のワンオペは無理!』とまさかのダメ出し(笑)。初めての子ではなかったこともあって『どうにかするぞ!』くらいに思っていたのですが、夫も親きょうだいもビックリしてしまって『ひとりじゃ無理なんだって!』と緊急家族会議になりました。」

■奥先生 「それはいいアドバイスをもらいましたね。でないと、寝る時間も、食事する時間も削らなくてはやっていけません。お風呂にも入れませんよね。」

■モーハウス 「それだけ聞くと、多胎ママに母乳育児は、やはり負担が大きいようにも思うのですが如何でしょうか。」

■奥先生 「そのように思われがちなのですが、でもこれはもしかしたら、単胎のママが『母乳で育てたい』と思う時と、根っこの部分は変わらないのではないですか。『ママが母乳で育てたい』と願っているのに『多胎は単胎より大変だから、母乳育児はあきらめなければならないのか』といえば、必ずしもそうではないというお話をしましょう。」

 

「おっぱいタイム」も双子なら2倍?三つ子なら3倍?同時授乳のメリットを体験者も力説!

 

■奥先生 「まず授乳に関していえば『同時授乳』は、ひとつの有効な手段になり得ます。『同時授乳』でやったママたちは口をそろえてコレなくしては母乳育児はできなかっただろうとおっしゃっています。」

■マミさん 「私は最初のうち、交互に授乳していたので夜中も熟睡できず、ノイローゼ気味になりました。昼間も簡単に外出できず部屋にこもりきりで気持ちがめいって、追い打ちをかけるように寝不足で。夜が来るのが怖かった・・・」

モーハウス タンデム授乳手ぬぐい

■モーハウス 「私たちも『タンデム授乳』と称して、多胎や年子など、お子さんの年齢が近いごきょうだいへの授乳スタイルとして、ユーザーさんにオススメしています。」
      

<写真:モーハウスオリジナル手ぬぐい:タンデム授乳デザイン>
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■ヒロさん 「でも『タンデム授乳』に関しては『ひとりひとりに愛情をかけないで、大人の都合で一度に済ませるなんて!』というような苦言を呈されることもあるんです・・・我が家はいわゆるMD双胎(※)だったんですが、妊娠中から胎盤だってひとつだったのに!何より至福の『おっぱいタイム』を共有できる相棒がいるというのは素敵なこと、というのは実体験から感じました。手をつないで『おっぱいタイム』を楽しんでいる姿や、おしゃべりできるようになると今日もおいしいねなんて話しながら飲んでくれて、それはそれはカワイイんですよ!」

(※)双胎には3種類あり「MD双胎」(一絨毛膜二羊膜双胎)の場合、ふたりの間は膜で仕切られていますが、ひとつの胎盤を共有。「MM 双胎」(一絨毛膜一羊膜双胎) はお互いの間に膜もなく、胎盤も共有。「DD 双胎」(二絨毛膜二羊膜双胎)はふたりの間は膜で仕切られ、胎盤もそれぞれひとつずつ有しています。双胎妊娠は高リスクとされますが、タイプによってリスクの高さも変わってきます。

■マミさん 「ふたりで、一生懸命飲む姿は癒されますよね!」

■奥先生 「入院中に『同時授乳』を教えてもらっておくことが、やはり第一歩になりますね。でも新生児科医として少なからず多胎ファミリーを見てきましたが、『同時授乳』が解決策というワケでもないんですね。多胎の授乳支援は、テクニックを情報提供するだけではないと思います。」

■モーハウス 「先生のご経験から、多胎ファミリーと『おっぱい生活』について、代表例のようなものを教えていただけますか。」

■奥先生 「代表例という言い方はよくないかもしれません。ママと赤ちゃんの『おっぱい生活』は、とても個別的なものだからです。まず、それを忘れないでくださいね。その前提に立って、私がこれまで見聞きした中で『こうやっているからうまくいっているんだな』という事例を4家族ほど挙げてみましょう。」

 

【ケース1】タンデム授乳を入院中に練習!「おっぱい」は必ず一緒で時短を実現

 

■奥先生 「Aさんは2300gと2500gの坊やのママで、今回が初産でした。帝王切開だったことと、ちょっと早産だったこともあり、普通よりも少し長めの入院期間で、12日目に双子の赤ちゃんと一緒に退院しました。ママと双子が同じタイミングで退院できるというのも、入院中の支援がちゃんとしていることが条件ですが、母乳育児がうまくいきやすい要因のひとつといえます。
入院中は、産後すぐは双子ちゃん交互の母子同室、途中からは2名とも同室で、入院中に『同時授乳』を教えてもらうことができました。退院後は毎回、直接『同時授乳』で1日10回ほど。大体同時に欲しがったそうですが、欲しがらない場合も起こして『同時授乳』させ、それ以外には授乳はしない。『そうしないと、ほかのことができないから』と割り切っていました。退院後は母乳のみで、順調な体重増加です。」

■マミさん 「『同時授乳』については、私も慣れないうちは、例えば同時に泣かれて一緒に授乳しようとしたのに、ひとりが転がってしまって乳首から外れてまたグズり出したり・・・でももうひとりが飲んでいるのでリセットもできず、困ったこともありました。」

■モーハウス 「入院中に『タンデム授乳』をしっかり教えていただけるというのはいいですね!」

 

【ケース2】「母乳で育てたい!」と願うママに、パパやまわりができることは?

 

■奥先生 「Bさんは、体重は普通の双子の赤ちゃんで、こちらも初産でした。退院後は母乳のみで育てていて、寝るヒマもないくらい。パパが見るに見かねて『授乳の時には僕がひとりにミルクをあげるよ、そうしたら少し楽になるんじゃない?』と提案したそうなのですが、ママは激怒したそうです。『私がどうやってふたりにおっぱいをあげようかと苦労して、工夫していることが見ていて分からないの?子どもに飲ませるのはいいから、私に食べさせて!』このパパは授乳の度に、小さなおにぎりを作って『あ~ん』とママの口に入れることになりました。双子だと母乳をたくさん出す分、食事も多く摂る必要がありますからね。パパは毎回工夫をして、いろいろな種類のおにぎりを作るようになったそうですよ。それ以外の協力も増えて、夫婦の仲も双子の授乳もうまくいくようになりました。パパや家族の協力は絶対に必要ですが『人工乳をあげてママを楽に』という発想は、母乳育児をしたいママの助けにはならないこともあるのですね。」

■ヒロさん 「いいお話ですね!双子授乳中の食欲については、私も夜中に牛丼の特盛を買って帰ってきてもらって食べても、痩せ続けたくらいでしたね(笑)」

■マミさん 「2人分のおっぱいをあげるので食べても食べてもお腹が空くんですよね、それでも太らないのはうれしかった!(笑)」

■ユミさん 「私はまわりから、というか義母なんですけど『ほんとに足りてるの?ミルク足した方がいいんじゃない?ご近所の双子ちゃんは混合だから、あなたもそうしたら?』と会うたびに言われてしんどくて・・・」

■ヒロさん 「それはキツい・・・」

■ユミさん 「そんな言葉にも動じず、うちの子たちは母乳をしっかり飲んで育ってくれています。『双子でも母乳で育てて大丈夫』というのが、親の世代にも伝わってくれたらいいんですが。」

■モーハウス 「最近のニュースでも『ママの負担を減らすためにも母乳ではなくミルクを』というコメントが見られますから、余計に『多胎=人工乳』と思われがちなのかもしれませんね。奥先生のおっしゃるように、それがママの助けにならないこともある、というのは大切な視点ですね。」

 

【ケース3】三つ子ちゃんの「おっぱい生活」は例えばこんな風に

 

■奥先生 「では、三つ子のお話もしましょうね。
Cさんは早産の三つ子のママです。入院中は3名分の母乳を搾乳できていました。退院時には、直接授乳もマスターできていました。
しかし退院後は、とにかく時間がない!周りに手伝ってもらえる人がいなかったので、しばらくは長めに実家に帰っていましたが、実家のお母さんも仕事をしているので、半年もいるわけにはいかないし、結局帰ってきました。同じ時間に授乳はしていましたが、3名を授乳し、しかもそれを母乳でやるためには、搾乳して凍結しそれを解凍してビンで飲ませるという手順を踏むことになるので、とてもやりきれない。直接授乳しながら、ほかの子どもは足のところに寝かせてミルクをビンであげました。あとで聞いてビックリしたんですが、なぜ足のところだったのかといえば、足でビンを揺すったり調節できるからなんですって!このママを、私は『よくやったね!』と、とても尊敬しています。
平等にしてあげたいと毎回直接授乳する子どもは順番制にしてグルグル回していたそうなのですが、何カ月か経つと哺乳ビンが好きな子、直接授乳が好きな子と好みが分かれてきて『どうしても直接授乳じゃなくちゃイヤ』という子どもだけは2歳すぎまでおっぱい飲んでいたそうですよ。
ちなみに搾乳は冷蔵庫保存で長期に、数日間保存できるので、凍結しないで飲ませるという選択肢はあったかもしれませんね。」

■ヒロさん 「双子でもてんやわんやなのに、三つ子は想像を絶します・・・でも三つ子ちゃんの好みがそれぞれ、というのは分かる気がしますね。我が家は双子ですが、ひとりが卒乳した後も、もうひとりは何カ月も飲み続けていますから。」

■モーハウス 「母子の『おっぱい生活』がとても個別的なものというお話が先ほどありましたが、双子でも三つ子でも、当たり前のことですが、それぞれに個性があるということですね!」

 

【ケース4】双子でも、ひとりが母乳で、ひとりがミルクという例も

■奥先生 「Dさんのところはちょっとだけ早く生まれた2500gと2250gの女の子の双子で、退院後は母乳が多めの混合栄養で順調でした。しかし退院後1カ月くらいして小さい方のお子さんに先天性心疾患があることが分かり、急遽入院して人工心肺を回しての大手術になりました。1カ月くらいで退院できたのですが、このことがあってからお子さんはひとりが母乳だけで、もうひとりが人工乳だけになりました。母乳のお子さんは2歳過ぎまで母乳を飲んでいましたよ。
皆さんは、入院した病気のお子さんがミルクになったのねと思うでしょう?違うんです、入院したお子さんが母乳栄養なのです。ICUに入っていた時は一生懸命搾乳して届けて、一般病棟に移ってからは付き添いが必要だったし、病気の子どもほど母乳は身体にいいと聞いていたので、直接授乳を頑張ったらこうなったのだそうです。『もうひとりのお子さんには?』と聞いたら、退院してきて飲ませようとしてみたけど『全然見向きもしてくれなくなっていたんです』とのことでした。このママも、よく頑張りましたよね。私の尊敬するママのひとりです。」

■モーハウス 「母乳育児支援を積極的に進めていらっしゃる先生から、ミルクを選択したママを『尊敬している』というご発言が出たのは、正直なところちょっと意外です。」

■奥先生 「いろんな事情で、自分では母乳育児を望んでいたけれども、人工乳を選択することもあるでしょう?新生児科医として申し上げますが、母乳育児でないことに負い目を感じたりする必要は全くありません。威張ってミルクで育てればいいのです。我が家の子どもも今は大人ですが、ミルクで立派に育ちましたよ(笑)
その一方で、ママが赤ちゃんに『母乳をあげたい』と思うのは“普通”のことで、ママの“ワガママ”でも“こだわり過ぎている”ワケでもありません。これは単胎でも、多胎だって同じことです。その願いを、母子のために『あきらめさせる』のではなく『実現できるようにサポート』することが、もっと重要視されていいのではないでしょうか。」

 

専門医・奥先生からアドバイス 多胎ママが「おっぱい生活」を楽しむために

 

■モーハウス 「では、特に多胎ママたちが『おっぱい生活』を軌道に乗せるために、具体的なアドバイスをいただけますか。」

■奥先生 「母乳育児支援をたくさんやっている方であれば誰でもいいと思いますが、支援をしてくださる方を見つけてください。ただし問題は『多胎ママは母乳外来などに行っているヒマはない』というところにあります。訪問してもらえる専門家を探すことが大事です。」

■モーハウス 「奥先生は、母乳育児支援者や医療従事者への教育についても専門家でいらっしゃいます。多胎ママに接する産科・新生児科の関係者の方々に、アドバイスがあればお願いいたします。」

■奥先生 「まず、多胎でも母乳育児はできることを知ってほしい。というか、信じていてほしいですね。
そして多胎の母乳育児がうまく行くための情報提供をしてほしいです。ただしそれを『押し付けない』ということはもちろんです。そして『同時授乳』について、首が座っていなくても可能ということを知っていてほしい。入院中にそのスキルを伝えるスキルを医療者が持ってほしいですね。医療現場を見ていて、そもそもそのような支援者がとても少ないと感じています。特に、ほとんどの多胎はいま、周産期センターに集まってきます。周産期センターではNICUの重症の赤ちゃんを救命することがまず第一なので、ナース側では授乳支援にまでなかなか手が回らないのが実情です。
また医師の側から言うと、母乳だけで育てると体重増加などの面で不利なので母乳で育つことにウエイトを置かない方がよいと誤解していることも多いです。 このような赤ちゃんとママの支援には、経験やスキルや大きな労力が必要とされますが、それは収入面では全く評価されません。看護側からは、保険制度上の加算を以前から要求していますが、実現の見通しは少ないと聞いています。
多胎ファミリーに適切な情報が届いて、適切な支援が受けられるためには、クリアしなくてはならないところがたくさんあります。これからの大きな課題ですね。」

■モーハウス 「奥先生、今日は貴重なお話をありがとうございました!また今回、多胎ママとして聞き取り調査にご協力くださったユーザーの皆様、そしてマミさん、ユミさん、ヒロさんにもあらためて感謝申し上げます。双子ちゃん・三つ子ちゃんとママの『おっぱい生活』が、笑顔あふれるものとなりますように!」

 

モーハウス 双子 三つ子ちゃん育児


 

【企画協力】
ちかぞう(ちかぞう) ライター/イラストレイター/中国語翻訳者

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。
かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。子どもたち=中学生&双子(小学生)を授かってからは育児ネタにも取り組み、ぴあ株式会社の育児情報サイト「ハピママ*」特集ページ 子育てママのモヤモヤ解決シリーズ「専門家と考える 公共の場での授乳問題」では全取材を担当したのをはじめ、ママ目線での記事(e.g.【爆笑問題】笑いといじめは紙一重!? 最新インタビューで見えた「子育ての思わぬヒント」)や、双子親ならではの実体験レポートを多数執筆。目下絶賛授乳中。

中国関係では、ぴあ株式会社のウェブサイト「ウレぴあ総研」で女優・宮澤佐江さんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当し、中国語指導等にあたった経験も。近年はインバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で、季刊誌『中國紀行CKRM』(主婦の友ヒットシリーズ)ほかで中国文化を紹介する連載(執筆・イラスト)を展開するなど、積極的な情報発信を続けている。


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