1才11カ月の子のママ
カルテ7「いつでもどこでも年中おっぱい。自然卒乳したいけどこのまま続けていいの?」

自然卒乳したいと思っているけれど、このまま続けていいのか気になる
保育士さんに聞いたら「気持ちの切り替えをした方がいいからおっぱいをやめた方がいい」と言われた。

眠い時何回も飲む、朝も飲む、寂しい時も飲む。ご飯は少ししか食べない。
今はないが、虫歯が心配。

A: 「卒乳、断乳の形は色々で良いのでは。お互い納得いく形を考えてみては」

うちの娘の事を言われたようで懐かしくなりました!
いつでもどこでもだと、お母さんの気が休まることなく大変ですよね。イライラしたりしないですか?

娘も、すぐおっぱい、どこでもおっぱいを欲しがるので、電車やバスでも飲みたがって、気をそらすことに苦労したこともあります。
離乳食を始めても、すぐにおっぱいになってしまって、食も細かったですよ。
じつは私も自然卒乳を目指していましたが、寝不足、授乳による疲労感の方がつらくなり、2才5ヶ月の時に言い聞かせて、断乳のような卒乳のような終わり方をしました。

お母さんが気持ち的にも体力的にもまだ頑張れるのであれば、お互い納得いく形でおっぱいバイバイするのもよい(自然卒乳)と思います。
でも話合って決めるのや、次の子がほしいので「もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)だから」と説得する(断乳交渉?)でも構わないと思います。

他にも、ママの出張をきっかけに親子とも「あれ?」と思う感じで終わってしまった人や、ものすごくお子さんが執着して5回も卒乳を試みたけれどダメだった(けっきょくその子は4才まで飲んだそうです)、2才の時セレモニーをしてちゃんと止めたけれど、次の子の授乳と同時に5ヶ月ぶりに普通に飲み出され復活してしまった人(きょうだい授乳したかったわけではないのに、きょうだい授乳になってしまったそうです)、など本当に色々なケースがあります。
なので、卒乳、断乳の形は色々で良いのではないかなと沢山の卒乳の相談を受けてきた相談員たちは皆思っています。

なぜなら、「大人になるまでおっぱいを飲んでいる子はいない」からです。知り合いの小児科医が「卒乳なんて、必ず金メダルが取れると分かっているオリンピックみたいなものだ」と言っていました。「だって駅の改札口に立ってしばらく人混みを見てご覧なさい、『ジャンクフードなんてかじって。あの人はきっと卒乳遅かった人だな』とか『あの人は自然卒乳した人だな』『断乳だな』なんて分かりますか?見分けつかないでしょう?」

保育士さんだけではなく、色々な人に色々言われるかもしれませんが、そういうわけですから、どうぞ安心してください。
卒乳までの道筋は色々ありますが、ゴール(大人になっておっぱいをやめる)は、一緒なのですから。

虫歯が心配とのことですが、おっぱいが原因で虫歯にはならないそうです。
が、虫歯の原因は、ショ糖とされているので、甘いおやつやジュースは、控えたほうがいいかもしれないですね。
顧問の産婦人科医、村上麻里先生の書いたものを引用しますのでお読みになってみて下さい。

~母乳を続けていると虫歯になるって本当?~

A.むし歯の原因

1)歯の脱灰
・酸でエナメル質が溶ける
2)再石灰化
・唾液中のカルシウムがそれを修復する
・40~50時間かかる
・むし歯菌(ミュータンス菌)がいると糖から酸を作る
・上の前歯の裏は、母乳が停滞しやすい
・寝ている間は唾液が少ないので、菌が作る酸により脱灰が進む

B.糖の種

ショ糖(ブドウ糖+果糖)はミュータンス菌が利用できる
乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)は利用できないが、プラーク内で乳糖が分解されると酸の元になる

C.液体の糖分に注意

歯の隙間に入り、みがいても残る
停滞時間が長くなり、むし歯を作りやすい状態に
例:ほ乳びんでジュースやスポーツ飲料を与える
日本小児歯科学会 小児科と小児歯科の保健検討委員会の資料を参考

D.予防

1)ミュータンス菌を定着させない
・妊娠中に歯の治療
・周囲の大人も歯の環境改善を
・大人が噛んだものを与えるのは避ける

2)歯みがき
・1日1回はていねいにみがく
・プラークを取る
・歯と歯の間、かみ合わせの部分はしっかりと

3)食べもの
・砂糖を減らす
・液体の糖分(みりんやめんつゆに入っているブドウ糖果糖液糖)に注意
・歯と歯の間に入りやすいものを避ける(飴、キャラメル、ジュースなど)

4)食べ方
・だらだら食べない
・甘いものは時間を決めて食事の後、すぐ
・しっかり噛むと唾液が分泌され、修復に役立つ

(おにぎり通信 NO251「麻里先生に聞きました、おっぱいの医学的質問と回答」より引用)

相談員 友里